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ブライダルインナーのほっとするお話

真珠は、母貝となるアコヤ貝が体の中にまぎれ込んだ砂粒や石などの異物を炭酸カルシウムでつつみ込むことによって形づくるものだそうだ。
そのことを知ってから私は嫌なことを我慢するとき「真珠になるのよ」と、言い聞かせてきた。
もっとも、くるんだ層はあまりにも薄く、私がつくった真珠はしばしば砂粒を露呈するできの悪いものだった。それでも真珠は真珠である。

結婚し定ら誰もが原石のままではいられない、結婚して素敵になったかと言われたいもっとも、誰もが真珠を目指さなくたっていい。ダイヤモンドのような奥さんがいたっていいと?ダイヤモンドは同じ宝石でも、真珠とは違うつくられ方をする。
何かをつつむことによって輝くのではなく、カッティングをほどこすことによって、ダイヤモンドはダイヤモンドたり得るのである。結婚によって、自分をカットする必要に迫られる人はたくさんいる。
私の友人にも、そういう人がいた。彼女は意志が強い頑張りだ。
外国で育ったせいか、自分をはっきりと主張する。私は彼女のそういう面が好きだった。
結婚生活を送る上では、我が強すぎる面もあったようだ。「いやなものは、いや」と、言い切る彼女は、「主人と喧嘩が絶えないの」と、こぼしてばかりしたけれども、彼女はしだいに自分を変えていった。
自分の主張を述べる前に、まずはとにかく相手の言い分を聞いて、従うところは従うように努力したのだそうだ。その結果、彼女の結婚は、彼女自身「満足していんのよ」と言えるものとなった。
それだけではない。周囲の人からも「丸くなった。穏やかになった」と、ほめられるようになったというのである。
別に、人からほめられるために、真珠になったり、ダイヤモンドになったりする必要はない。

ただ、結婚すると、原石のまま生きるのはむずかしい。ありのままの自分を受け入れてもらって結婚したつもりでも、そごは人と人との共同生活。
原石のままではいられない。体の中の異物にしても、なんとか取り除きたくなるものだろう。
だったら、真珠派でも、ダイヤモンド派でもいいから、自分で自分を輝かせるよう、努力すべきではないだろうか。そうでないと、本人がつらい目にあう。
私はときどき、「自分で自分を磨くには、こういう方法もあるのよ。真珠でも、ダイヤモンドでもいいから、とにかくあなたはあなたを輝かせるように頑張らなくてはね」と、自分にそう言い聞かせているのである。
「結婚しても素敵でいたい」「結婚したら、独身の頃より素敵になりましたね」と、言われたい。誰もがそう望むものだろう。
何が悲しくて、素敵じゃなくなるために結婚しなくちゃいけないのだ。私の知り合いに、とくにそうした思いを強く持って結婚したヒトがいる。
ここでは、Sさんとでもしておこうか。Sさんは、結婚後も仕事を続けていたが、仕事が好きだったからというわけではない。
結婚しても素敵でいるためには、仕事を持っていなければ駄目だというのが、彼女の持論だったのだ。

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